阿南代表理事へのインタビュー

2023年9月13日

一般社団法人消費者市民をつくる会 代表理事 阿南 久

一般社団法人大手家電流通協会 事務局長 長野 毅

 

長野 大手家電流通協会は昨年 12 月に社団法人化し、活動を活発化しようとしているが、消費者の意見を聞きながら進めるということが非常に重要であると考えております。例えば、家電リサイクルスキームについて、消費者の協力が不可欠でありますが、それについて消費者はどのようにとらえられているのか伺いたいと考えています。リサイクルスキームについては、家電量販店は大きな負担をしていると考えています。最近では、EC 事業者経由の家電販売も増えていますが、リサイクルの際の改修は、量販店が担う割合が多く、それを消費者がどうとらえられているかや、既存のシステムに対して、消費者が課題を指摘することによって、その声が一定数集まれば聞かざる負えないという流れができると考えております。他のテーマでも脱炭素化の流れについても、消費者が、省エネ家電について、どのように考えているかですとか、是非、聞いてみたいと考えています。 今般、個別のテーマの分科会を複数立ち上げて活動を強化することになりました。それぞれのテーマで消費者の意見を伺いたいと考えております。そのような当協会からの要望について、どのような対応ができるか聞かせていただけないでしょうか。
阿南代表理事 長野様のご説明で、貴協会のお考えについては、よく理解できました。昨今は、業界団体の会合や検討会に呼ばれる機会もあり、「事業者における消費者の声」の重要性はようやく浸透してきたと考えております。ご説明にあったことは「消費者志向経営」と呼ばれており、「消費者の声」を聞き、寄り添わなければ、企業経営に重大な問題を生じる可能性があると考えられています。貴協会が進めようとされているそれぞれの活動テーマについて、生団連で消費者との意見交換の場を設けることはできると思います。
長野 是非、消費者団体を通して、消費者のお声を伺える機会をいただきたいと思います。他にも、RFID タグ導入に向けた検討会をメーカーや物流会社、タグ印刷メーカーなど約 60 社を集めて 8 月に開催致しました。この取り組みは、物流業界 2024 年問題に対しての業界の自主行動計画を策定しておりますが、その施策の 1 つとしても有効と考えております。これが実現できれば、リサイクルや廃棄、リコールに至るまで、家電製品のサプライチェーンのデータ管理ができる体制となり、各業界にとって効率が高まると考えられております。小売業界の生産性が低いと話題になっていますが、 その観点でも、非常に有効な施策であると考えています。是非、消費者の方のご意見も伺いたいです。
阿南代表理事 いつ頃の導入を予定してますか。
長野 あくまでも私見ですが、データベースの作成などまで考えると、製品への 100%貼付は、2030 年目標というようなスパンになるのではないかと思います。現在、検討会を継続しておりますので、導入の時間軸も、見えてくると思います。
阿南代表理事 RFID タグ導入のメリットは大きいと思います。RFID タグが導入されると販売データが残り、修理の際やリユース商品としての履歴が残るため、事故が起こった時などは原因究明やリコールがしやすくなります。また、海外への転売や不法投棄の抑制にもつながるのではないでしょうか。消費者庁が RFID タグにかかわるとしたら表示対策課や消費者安全課だと思いますが、相談したり連携したりする機会を増やして関係を強めていった方が良いのではないでしょうか。
長野 その他に、カーボンニュートラルに対する取り組みを脱炭素分科会の中で行っております。温室効果ガスの排出量の見える化のプラットフォームを企業に提供している会社と協会でアドバイザー契約を結び、会員企業のカーボンニュートラルへの取り組みに対する議論や、家電メーカーとの協力等の議論を始めております。こういうインフラのところでは、会員企業の競争ではなく、協調をできるということで進めています。サーキュラエコノミー実現の取り組みにおいては、家電リサイクルや家電のリユースの拡大への取り組みも、今後取り組むべきテーマであると考えております。リユースについては、履歴が明確な商品の提供が消費者にとってのカーボンニュートラルにつながる行動誘因になる可能性があると思われます。
阿南代表理事  おっしゃる通りだと思います。そういう情報提供がもっと進めば、消費者は適正な「選択」と「行動」ができます。先日、東京消費者センターにリコール商品のチラシが置いてありましたが、かなり古い情報まであり、回収には大変な時間と労力がかかるという認識を新たにしました。家電量販店には情報は共有されているのでしょうか。
長野  家電量販店にも経済産業省からリコール情報は協会に届くので、協会各社には情報共有はおこなっております。
阿南代表理事 今回お話しいただいたテーマについて皆さんと意見交換するという理解でよろしいでしょうか。最新のテーマであり、消費者が望んでいる内容と思います。
長野

協会では分科会があるので、その中でお話しいただくようなことも考えております。協会の中で消費者団体との連携をイメージできる取り組みをおこなってまいりたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

本日はありがとうございました。